時計開発の苦労


時計の開発開始から市販にいたるまでのあいだに、
試作機を18種類つくりました。
中でも最初の試作機はたった「3秒」しか動かなかったのですが、
動いた瞬間は強烈に感動したことが記憶に鮮明です。

時計製作でもっとも困難だったのはゼンマイ材料の入手です。
現在国内ではゼンマイ式の置時計を製造しているメーカーは、
ナルセ時計以外に無いので、ゼンマイの入手先を見つけるため、北陸地方まで足をのばしました。

やっとの思いでゼンマイの「素材」だけ入手できたのですが、
ヒゲゼンマイの成形などは自社で行わなければならず、バネ製造の文献を読んで勉強する日々が続きました。

シャフトの製作も最初は苦労しました。素材から削りだして軸の先端部を精密に細く仕上げるのですが、ステンレスという素材はとても削りにくく特殊な削り方を必要としたのです。

時計本体のデザインはとにかくデッサンを何十枚も描き上げてから決定したのです。どれも愛着があるデザインで楽しい苦労でした。

やっとの思いで、でき上がった時計に今度は新たな問題が発生したのです。
ゼンマイ式時計ならではの「カチカチ音」が美しくないのです。
心が休まるような音色が出ずなかなか納得がいきませんでした。
そしてある日、音に関する改良が、全くべつの製品の技術を応用することで解決できたのです。

いよいよ最後の難関は時計を量産化する技術です。
やっとの思いで完成した試作品ですが、量産できなければ意味がありません。

最後の壁を乗り越えるために全力でがんばりました。
その結果、ついに2002年7月に量産化に成功し、店頭販売にこぎつけたのでした。

こうして生まれたナルセ時計は、この先100年後もメーカーとしてつくり続けられるように努力するし、300年後も常に進化しつづけることを願っています。
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